■ 5. 海外の治験情報を見つけた後の流れ ① 識別番号(NCT番号・EudraCT番号)の控え 米国の「NCT01234567」などのNCT番号、または欧州の「EudraCT番号」を保存・プリントアウトします。 ② 主治医への提示・ご相談 控えを持参してかかりつけの主治医に見せ、「海外でこの新薬治験が進んでいるが、どのような薬剤か」等を相談します。
NCT Number Study Title
NCT07325591 Efficacy and Safety of Tazbentetol in ALS Participants
NCT07322003 Pridopidine Phase 3 Study to Evaluate Efficacy and Safety in ALS
NCT03127267 Efficacy and Safety of Masitinib Versus Placebo in the Treatment of ALS Patients
NCT06126315 Trial on the Biological and Clinical Effects of Acetyl-L-carnitine in ALS
NCT06719947 HD-tDCS in Amyotrophic Lateral Sclerosis: A Multicenter Randomized Controlled Trial
NCT07321860 This Study Evaluates the Safety, Target Engagement, and Preliminary Efficacy of Galunisertib (TGF-ホイR1/ALK5 Inhibitor)Combined With Nerandomilast (PDE4 Inhibitor) in GREM2-positive ALS, a Biomarker-defined Subgroup Hypothesized to Reflect Heightened TGF-ホイ/SMAD-driven Astrocytic and Fibrotic Signaling
NCT07161999 Study of COYA 302 for the Treatment of ALS
NCT07174492 Efficacy and Safety of Masitinib in Combination With SoC Versus Placebo in the Treatment of ALS Patients
NCT04302870 Motor Neurone Disease – Systematic Multi-Arm Adaptive Randomised Trial
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ClinicalTrials.govでは、2026Sep.下記の9件が有望。
それぞれ解説していきます。
NCT Number Study Title
NCT07325591 Efficacy and Safety of Tazbentetol in ALS Participants
NCT07322003 Pridopidine Phase 3 Study to Evaluate Efficacy and Safety in ALS
NCT03127267 Efficacy and Safety of Masitinib Versus Placebo in the Treatment of ALS Patients
NCT06126315 Trial on the Biological and Clinical Effects of Acetyl-L-carnitine in ALS
NCT06719947 HD-tDCS in Amyotrophic Lateral Sclerosis: A Multicenter Randomized Controlled Trial
NCT07321860 This Study Evaluates the Safety, Target Engagement, and Preliminary Efficacy of Galunisertib (TGF-ホイR1/ALK5 Inhibitor)Combined With Nerandomilast (PDE4 Inhibitor) in GREM2-positive ALS, a Biomarker-defined Subgroup Hypothesized to Reflect Heightened TGF-ホイ/SMAD-driven Astrocytic and Fibrotic Signaling
NCT07161999 Study of COYA 302 for the Treatment of ALS
NCT07174492 Efficacy and Safety of Masitinib in Combination With SoC Versus Placebo in the Treatment of ALS Patients
NCT04302870 Motor Neurone Disease – Systematic Multi-Arm Adaptive Randomised Trial
海外の有望なALS治験と日本の「ドラッグ・ロス」
1. はじめに:海外で進む先端治験と日本の現実
臨床試験データベース(ClinicalTrials.govなど)を開くと、世界中(主に欧米)でALS(筋萎縮性側索硬化症)に対する多様な先端治験が活発に行われていることが分かります。
しかし、紹介した11の先端治験(NCT07325591、NCT07322003、NCT04220190、NCT03127267、NCT06126315、NCT07082192、NCT06719947、NCT07321860、NCT07161999、NCT07174492、NCT04302870)をはじめとする有望な治験の多くは、現時点で日本国内の医療機関では実施されていません。
海外で開発や承認が進む一方で、日本への導入が実現しない、あるいは大幅に遅れてしまう「ドラッグ・ロス/ドラッグ・ラグ」という現状は、患者さんやご家族にとって大変もどかしく、歯がゆい事実です。
2. なぜ日本の医療機関で実施されないのか?(背景と考察)
これらの治療薬や革新的な治験モデルが日本で同時に実施されない背景には、単なる資金面だけでなく、規制、医療体制、地理的・構造的な要因が複雑に絡み合っています。
① 海外バイオベンチャー企業のリソースと戦略の課題:
リストにある治験薬の多くは、大手多国籍製薬企業(メガファーマ)ではなく、欧米の新興バイオ企業や研究機関が開発を主導しています。言語や規制手続きの異なる日本で治験ネットワークを立ち上げるには膨大なコストと労力がかかるため、自国(欧米)での承認・実用化を最優先せざるを得ない事情が存在します。
② 医療実態(人工呼吸器の装着割合等)の違い
治験で「生存期間」や「人工換気導入までの期間」を主要な効果として評価する際、日本と欧米では非侵襲的人工換気や気管切開下人工換気の導入割合・選択傾向などの医療文化が異なります。*この医療実態の差が、国際共同治験におけるデータ解析の一貫性を阻む要因となり、日本が対象国から除外される一因となっています。
③ 各国の規制・評価枠組みの相違と手続きの壁
日本(PMDA)と欧米(FDA/EMA)の間で、治験プロトコルや安全性データの要求水準に違いが存在することがあります。海外企業が日本の規制対応を負担に感じ、日本での開発着手を後回しにしてしまう傾向が生じています。
④ 特殊な治療技術やインフラへの依存:
「RAPA-501」のような患者自身の細胞を体外で加工・自家移植する細胞治療では、国内でのGMP専門施設の用意が必要です。また「MND-SMART」のようにイギリスのNHS(国民保健サービス)のインフラに深く依存したプラットフォーム試験は、そのままの形で他国へ移植することが困難です。
*気管切開下人工換気(TPPV)の導入割合の違い
1. 日本:選択・装着率が高い(約20〜30%)
① 日本では、病状が進行して自力呼吸が困難になった際、気管切開を行って人工呼吸器を装着し、長期生存を選択する患者の割合が世界的に見ても著しく高いことが知られています。
② 背景には、公的な介護保険制度や難病医療費助成制度、訪問看護・重度訪問介護といった「24時間在宅ケアを支える制度的インフラ」が(地域差はあるものの)比較的整っていることが挙げられます。
2. 欧米:選択・装着率が極めて低い(約1〜5%程度)
1. 欧米では、呼吸不全が進行した段階でTPPV(気管切開)を選択する患者はわずか数%にとどまり、多くの場合は選択されません。
その理由として、以下のような社会的・制度的要因があります。
家族・自己負担の重さ: 24時間の在宅介護コストが非常に高額であり、公的支援のみで24時間ケアを賄うことが困難なケースが多い。
QOL(生活の質)と個人の尊厳に対する考え方: 「声を失い、自力で全身を動かせない状態で機器に繋がれて生きること」よりも、自然な終末期を迎えることを尊厳として重視する倫理的観点が強く定着しています。
非侵襲的人工換気(NIV)の位置づけと選択傾向
1. 欧米:早期からの積極的な標準治療(第一選択)
欧米ではTPPVを選択しない患者が主流であるため、NIV(マスク式)が呼吸ケアの「主軸」として極めて重視されます。
呼吸機能(FVC:努力性肺活量など)低下の兆候が見られた段階から早期に導入され、QOLの維持や生存期間の延長(数か月〜1年程度)、症状(頭痛や倦怠感)の緩和を目指して限界まで活用されます。
2. 日本:導入は定着しているが、TPPVへの「移行過程」としての側面も持つ
日本でもNIVの有効性は広く認知されており、標準的な治療として広く普及しています。
ただし、欧米と異なる点として、日本ではNIVを使用しながら「最終的に気管切開(TPPV)へ移行するかどうか」を患者・ご家族が長期間かけて話し合い、意思決定を行うためのステップ(繋ぎ)として機能する側面も強く持っています。