会社員・元会社員が「障害厚生年金」を受け取るための申請ガイド

お金
~ 確定診断までの道のりと「初診日」がカギとなる理由 ~
会社員(厚生年金加入者)の方がALSを発症した場合、公的な「障害厚生年金」を請求できます。障害厚生年金は、自営業等の方の障害基礎年金に比べて受け取れる金額が多く、軽度の障害(3級)から対象となるなど手厚い制度です。しかし、ALS特有の「確定診断までの長さ」が原因で、申請時に大きな落とし穴にハマってしまうケースが少なくありません。

■ 1. 会社員にとって「初診日」が命である理由
ALSの初期症状(手足の脱力、力が入らない、転びやすい、喋りにくさなど)は他の病気と見分けがつきにくいため、近所の整形外科や耳鼻科を何軒も受診し、神経内科で「ALS」と確定診断されるまでに数ヶ月〜1年以上かかるのが一般的です。
● 「確定診断日」ではなく「最初の受診日」が初診日になる
障害年金における初診日とは、「ALSと診断された日(大学病院等)」ではなく、「後にALSと判明する症状で初めて医師の診察を受けた日(整形外科やクリニック等)」です。
● 会社員(厚生年金)の権利を守るための決定的な違い
「勤務中(会社員時代)」に最初の病院を受診していれば、その後に病気が進行して退職し「現在は無職」であっても、手厚い【障害厚生年金】を請求できます。
逆に、最初の受診日を誤って「退職後に受診した病院」としてしまうと、給付額の少ない【障害基礎年金】になってしまったり、受給権自体を失う危険があります。

■ 2. 障害厚生年金 申請の 5 つのステップ
ステップ
具体的になすべきこととポイント
Step 1:初診日の特定と証明
在職中に初期症状で受診した「一番最初の医療機関」を特定し、「受診状況等証明書(初診日証明)」を作成してもらいたいと依頼します。診察券や診察費の領収書、お薬手帳が手がかりになります。
※受給権を守る第一歩は、「会社員時代に最初に受診した日の診察券や記録を探すこと」です。諦めずに早めの準備を進めましょう。
Step 2:年金事務所での確認
初診日を特定したら年金事務所へ行き、初診日に「厚生年金に加入していたか」および「保険料納付要件を満たしているか」を確認し、請求用書類を入手します。「一番最初の医療機関」で、「受診状況等証明書(初診日証明)」を作成してもらいます。
Step 3:主治医への診断書依頼
現在の主治医に障害年金用診断書の作成を依頼します。職場で受けていた配慮や、生活上の不自由さ(歩行、会話、食事、手すりの使用等)が正確に記載されるようメモを添えます。
Step 4:申立書の作成
「病歴・就労状況等申立書」を作成します。発症時の初期症状から初診、仕事への支障(休職や退職に至る経緯)、現在の障害状況を時系列で詳しく記載します。
Step 5:書類提出・審査
必要書類(戸籍謄本、受給口座情報等)を揃えて年金事務所へ提出します。審査には通常3〜4ヶ月ほどかかります。

■ 3. 会社員・ご家族が知っておくべき実務アドバイス
● 「傷病手当金」との併給調整に注意
会社を休職中に健保から出る「傷病手当金」と「障害厚生年金」を同時に受ける場合、年金が優先され傷病手当金側が調整(差額支給)されます。重複受給の手続きルールに注意が必要です。同時に受けとった場合、会社から後日、返還請求されます。
● 1年6ヶ月を待たない「障害認定日の特例」
障害年金は原則として初診日から1年6ヶ月後に申請可能となりますが、ALSの進行に伴い「人工呼吸器を装着した日」など特定の場合、1年6ヶ月を待たずに特例で申請できる場合があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました